コーヌスデンチャー(ドイツ式義歯)

53歳/女性
治療前
治療後
治療前
治療後
治療前
治療後
症状・主訴 入れ歯を綺麗にしてほしい。
入れ歯の金属が極力見えないように作ってほしい。
目安の治療費 282万円(義歯治療・インプラント治療その他)(税別)(処置費別途)
治療期間 2年間程
治療法 今回は見た目の改善に非常に有効であるコーヌスデンチャーを選択しています。また、残っている歯の位置を考慮すると、より安定した状態を生み出すために2本のインプラント治療を行って入れ歯の力を分散するように考慮しました。
入れ歯とインプラントの組み合わせは、安定性が向上するばかりか後の清掃性や問題が起きた場合の対応のしやすさなど、数多くのメリットがある治療方法です。
リスク

【1】外科手術について
インプラント治療は外科手術となり、口腔や顎骨に関わる手術によって以下のようなリスクが考えられます。
・神経の圧迫や損傷による麻痺
・血管損傷による多量出血
・術後の腫れと内出血によるあざ
腫れやあざは、多くの場合時間の経過と共に自然にひいていきます。
もし痛みがある場合は、鎮痛剤などの処方を行いますので、ご安心ください。
また、できるだけ手術による傷やダメージを最小限に抑える治療法で、患者さんへの負担が少ない治療を心掛けております。
そして神経損傷などのリスクを回避するために、当院ではCT撮影による精密検査で神経や血管の位置をより正確に把握し、
治療計画を立てています。

【2】顎骨・歯周組織の影響
患者さんの顎骨や、歯の周りの組織によってはインプラント治療ができない場合がございます。
また治療後でも、成功率や治療の効果などには個人差があります。
もし顎骨や歯の周りの組織の状態によっては、必要に応じて骨の造成や移植などの手術を併用します。
また骨の質が硬いあるいは軟らか過ぎるなどの場合は、インプラントが抜け落ちやすいというリスクがありますが、これは実際に手術をしてみないと判別できない部分でもあります。骨の質は個人差があり精密検査ではすべてを把握することはできない場合があります。

【3】メンテナンス
インプラントそのもの自体は虫歯になることはありませんが、それらを支える歯茎は歯磨きなどのケアを怠ってしまうと歯周病などで炎症を起こし、進行が進んでしまうと顎骨まで溶けてしまうこともあります。
これを「インプラント周囲炎」といい、悪化してしまうとインプラントが抜け落ちてしまう可能性もあります。
これらを防ぐために、治療中や治療後には毎日ご自宅で正しい口腔ケアを行い、治療完了後も定期的に通院の上メンテナンスやクリーニングを行っていただくことで、良好な状態を維持するよう心掛けてください。
噛み合わせについても日々変化し、治療当時の状態が永久的に続くわけではないので、当院では定期的に噛み合わせのチェックをさせていただいております。

【4】生活習慣
歯の周りの組織が健康な状態でなければ、適切なインプラント治療を行うことが難しくなることがあります。
喫煙、過度な飲酒、糖尿病は治癒を遅らせ、インプラントの成功率を低下させてしまうことがあります。当院では、インプラント治療に際して、禁煙・減酒をおすすめしております。

※症例写真につきまして、切り抜きなど必要最低限の作業を除き、画像の加工等は一切行っておりません。
治療はすべて各患者さまそれぞれの症例に対応した場合の例であり、他の方への治療結果を保証するものではありません。

治療の流れについて

初診時

残っている歯は虫歯になっており、また残せない歯もあります。歯を抜いてから何年も経っているので、歯肉のボリュームも相当減っているところが認められます。
入れ歯でしっかり噛める設計にするのはもちろんのこと、お若い女性ですので、見た目も特に配慮が必要です。

虫歯の治療を行う

残せない歯を抜歯し、保存可能な歯は虫歯治療をしていきます。
後に、金冠を被せられるように歯を削っていきます。

精密な仮の治療用義歯を入れてリハーサルする

歯の環境がある程度整ったら、精密な仮の治療用義歯を作って、噛み合せ・見た目などを患者さんと一緒に確認していきます。
最終的な形を体感して頂くことで、確実に満足のいく結果を出すことが出来ます。

インプラント治療を行う

今回は下顎に2本のインプラント治療(向かって右側)を行い、入れ歯にかかる力の分散を行っています。これにより格段に力のバランスが良くなるので、長期的な安定性を得ることが出来ます。
※向かって左側は金冠をかぶせる準備段階です。

天然の歯に金冠を被せる

天然の歯には金冠を被せていきます。後に装着する義歯が維持されるように精密に加工された金冠です。入れ歯を維持して保持する原理は『茶筒』のようなイメージです。極めて金冠の形を平行に近く加工してるので、茶筒のようにスーッと入るのですが、なかなか落ちてこないのです。

精密義歯の完成

ここでは示しきれませんが、かなり複雑な治療ステップを経て精密な義歯は完成します。
まさに、工芸品や芸術品の領域まで達する程に、精密かつ美しく仕上げられます。

解説

一言で入れ歯と言いましても、色々な入れ歯があります。

当院では、患者さんからご希望を伺い、また医学的見地から適切と思われる入れ歯の設計を検討し、ご提案いたします。

今回は『コーヌスデンチャー (ドイツ式義歯)』を選択しまいした。
選択した理由は以下の3点です。

・入れ歯特有の金具が見えにくく、見た目に優れる。
・残っている歯に対する負担が最小限に抑えられる
・今後、もしトラブルになっても修理などの対応がしやすく、入れ歯を作り直す可能性が低い。

従来の入れ歯に比べ、メリットが多くありますが、非常に複雑な治療過程が必要であることや、精密な入れ歯を仕上げる事が出来る歯科技工士は限られていると言うこともあります。

当院では、インプラント治療の他の治療の選択肢として、『コーヌスデンチャー 』をオススメする場合があります。

この症例では、入れ歯の支えとしてインプラント治療を併用しているため、従来の入れ歯に比べ安定性が格段に向上するため、よりしっかりと噛む事ができます。

入れ歯は一昔前の治療のイメージがありますが、設計の仕方を工夫したり、インプラント治療を用いることにより、より快適な入れ歯を作り上げる事が可能になります。